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現代のお墓に残る古来の風習

お墓がどのような過程で今の形になったのか。お墓の疑問を解き明かすため、一気にタイムスリップして6世紀後半から7世紀後半の古墳時代のお墓を見てみたいと思います。

訪れたのは、横浜市青葉区にある神奈川県指定史跡「市ヶ尾横穴古墳群」です。古墳時代というと、仁徳天皇陵を代表とする前方後円墳を想像しますが、巨大墳墓をつくるのは天皇や皇族の方々、または政治的地位の高い方に限られています。

この市ヶ尾横穴古墳群に埋葬されていた方々は、地域の有力農家のご家族だと考えられており、日本人の多くが農家であった古墳時代の葬送様式を垣間見れます。

市ヶ尾横穴古墳群のA群(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群のA群(横浜市青葉区)

名称:市ヶ尾横穴古墳群(神奈川県指定史跡)
住所:神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町1631
行き方:東急田園都市線「市が尾駅」から徒歩約12分
    国道246号線「市ヶ尾駅前」交差点から車で約5分

青葉区市ヶ尾の緑豊かな住宅地の中に、ひときわ茂る雑木林が市ヶ尾横穴古墳群です。取材に訪れた日は、平日の午後で人気も全くなくひっそりと静まり返っていました。隣りには小学校があるのですが、子ども達の声もここまでは届きません。

今でも受け継がれるお墓の様式

この市ヶ尾横穴古墳群の埋葬品には、農家でありながら刀剣や勾玉、貴重な器である須恵器(すえき)が出土しています。そのことから、農民の中でも有力な一族の墓ではないかと考えられています。

市ヶ尾横穴古墳群の入口(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群の入口(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群の広場(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群の広場(横浜市青葉区)



市ヶ尾横穴古墳群の説明展示(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群の説明展示(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群 古墳時代の人々の生活(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群 古墳時代の生活(横浜市青葉区)



古墳群には、タイルに焼き付けられた古墳群の説明が事細かに展示されています。一通り見れば、当時の生活様式やお墓の造営過程を学ぶことができます。

お墓である横穴に進む前庭部には、貴重な須恵器の破片が綺麗に並べてあったそうです。死者を弔うためのお葬式と呼べる儀式が行われていたようです。
そして、なんと市ヶ尾横穴古墳群では、お墓の中に入ることができるのです。

古墳の内部へ、現代のお墓に受け継がれる習俗

古墳群は崖地にあり、湿った落ち葉などで滑りやすいです。

市ヶ尾横穴古墳群のA群(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群のA群(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群のA群9号横穴(横浜市青葉区)

市ヶ尾横穴古墳群のA群9号(横浜市青葉区)



横穴古墳の内部 市ヶ尾横穴古墳群(横浜市青葉区)

横穴古墳の内部 市ヶ尾横穴古墳群(横浜市青葉区)

横穴内部と副葬品の説明(横浜市・市ヶ尾横穴古墳群)

横穴内部と副葬品の説明 市ヶ尾横穴古墳群(横浜市青葉区)



横穴に近づくにつれ、風に揺れる木立の音が小さくなり、腰をかがめて羨道(せんどう)を進むとそこは遺体を安置した玄室です。
お墓の中の構造は、入口から玄室に進むにつれて階段状に高くなっており、雨水の浸入を防いでいます。また発掘調査では、羨道から玄室にかけて小石が敷き詰めてあったっり、玄室の周りに溝が掘られており、ご遺体を丁重に扱っていた様子が分かりました。

無音に包まれたお墓の中は意外と広く、ご遺体をそのまま寝かせて埋葬されたようです。ここで多くの方に弔われ、黄泉の国へと旅立たれたのでしょう。
まるで別世界の話のようですが、まさしくこのお墓が多くの日本人のご先祖様であることは言うまでもありません。

土に還り祖霊となるお墓

今回の市ヶ尾横穴古墳群の訪問は、現代のお墓に通じる習慣や信仰を感じる貴重な体験でした。この古墳群がある高台から見下ろせば鶴見川があり、豊かな農作物が取れたことでしょう。
その小高い丘にお墓を設けることは、遺す人々に安寧と豊作を祈念するものとも考えられ、現代に引継がれている我が国の祖霊信仰に通じていると思います。

お墓の中でご遺体は朽ち果て、土に還っていきます。
この「土に還る」という考え方は、現代の墓石の構造にも残っています。

土に還る風習が残る現代のお墓

土に還る風習が残る現代のお墓

右は現代の霊園である、横浜市金沢区にある六浦霊園です。
まだ墓石が建っていない区画には、土があらわになった部分があります。この上に墓石を建てるのですが、ご遺骨を入れた骨壷を納めるカロートの底はコンクリートなどで固めることなく、土のが見える形となります。

弔い上げを(三十三回忌、もしくは五十回忌)行った後や、骨壷でカロートが狭くなった時には、骨壷からご遺骨をカロートの中の土に還していきます
まさにこの行為は、古来より引継がれた死に対する考え方そのものです。

お墓に対する考え方や、墓石の形がどんなに変わろうとも、守り続けるご先祖様への感謝と信仰は今も変わらないように感じます。


カテゴリー:お墓とは   最終更新日:2015年11月10日

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