お墓と墓石のトップ >>  お墓とは > お墓の歴史

お墓の歴史

私たち日本人のお墓は、一体いつからあるのでしょうか。

お墓の歴史 前方後円墳

古墳時代の前方後円墳

実は、今から約5千年前の太古。縄文・弥生時代よりお墓があったことが分かっています。
その形式は合祀の集合墓で、集落の一角に整然と配置され、亡くなった人を敬い、きちんと埋葬されていました。

その後、古墳時代から平安時代中期までは、支配者や権力者のみがお墓を持つ時代が続き、鎌倉時代には、現代の仏教各宗派が登場し中流階級の武家であればお墓を持つようになってきます。

一般庶民のお墓の歴史(中世)

天皇家や公家、有力武家のお墓は、尊厳と歴史的な重要史跡として各地に現存しています。では、日本人のほとんどが農民であった時代に、一般庶民はどのようなお墓で埋葬を行っていたのでしょうか。

その中でも有益な調査研究を行ったのが、民俗学者の柳田國男さんであります。
柳田國男さんが著した「祖先の話」ではお墓についてこのように書かれています。

新訂「先祖の話」柳田國男著 出版:石文社

新訂「先祖の話」柳田國男著

新訂「先祖の話」柳田國男著
新訂版 監修リライト:小畠宏允 校閲:田中正明
出版:石文社

日本の民俗学者の第一人者として有名な柳田國男さん(1875年-1962年)。日本各地を現地調査し民話や伝承をまとめ上げ、その中でも遠野物語は名著とされています。


~引用 ここから~

遺骸を永久に保存する慣例が、一部、上流の間に存したことは確かであるが、これと同種の葬法は、民間には行われず、しかも石を勒して(彫刻して)記念とする風も一般的ではなかったので、中古以前の常人の葬地は、その痕跡がはなはだ幽か(わずか)なのである。

~引用 ここまで~
新訂「先祖の話」より 柳田國男著

現代的なお墓は、安土桃山時代(中世)以前の庶民には見ることができなかったようです。その理由は、土地と共に生きてきた農民にとって死というものは、土に還り御霊(みたま)となり子孫を守ること。祖霊信仰によるものだと述べられています。

また、遺体を埋葬するためだけの埋め墓(うめばか)と、日頃お参りする詣り墓(まいりばか)に分ける両墓制が西日本を中心に見られ、現代とは全く違うお墓や墓所であったようです。

    ■日本の中世以前の庶民のお墓

  • ・埋葬方法は土葬が中心
  • ・御霊となり山野や里を行き来する。(お盆の行事として今に残る)
  • ・子孫繁栄、五穀豊穣を祖霊が宿るお墓に祈る
  • ・埋め墓と詣り墓がある、両墓制の地域もあった


現代のお墓が登場(江戸時代)

では、現代のようなお墓が庶民に定着したのは、どのような契機があったのでしょうか。再度、柳田國男さんの言葉をお借りいたします。

~引用 ここから~

葬法の変化は、主として新しい都市、または人口の、日に加わるべき生産地にはじまったもののようであろう。こういう土地では、始めから共同の「埋葬地」を区画せず、個々の「廟所」(家の敷地内や私有地の専門墓所)をもって直接に「収蔵」の用に宛てた。

~引用 ここまで~
新訂「先祖の話」より 柳田國男著

一般庶民がお墓を持つようになったのは、室町・戦国の世を経て江戸時代中期の檀家制度が確立されてからです。
太平の世の江戸時代は、文化繁栄と都市化が急速に進みます。土地を離れ町人になる方も増え、農村のように埋葬地に適した人里離れた山などはありません。埋葬場所として自宅の敷地内にお墓を建てるようになりました。

また、両墓制に代表される古来の風習が、田畑を持たない町人文化や仏教の影響で不敬なものと考えられてきたと、柳田さんは述べられています。
しかし、時代劇でよく見る町民住宅の長屋住まいでは、お墓が建てられません。
そこに江戸幕府が発布した檀家制度とあいまって、現代のような埋葬方法や寺院墓地のお墓が定着したのです。

ただ、江戸時代のお墓は、個人墓と夫婦墓が大半で、先祖代々之墓といった家墓が主流となるのは、明治時代に入ってからとなります。

現代のようなお墓の形態になるまでには、生活習慣や宗教など、様々な社会変化が大きく関係しています。お墓について疑問を感じる方もいらっしゃる世の中で、お墓を大切にしてきたご先祖様の歴史を振り返り、お墓について考えていくことも大切な事だと思います。


カテゴリー:お墓とは   最終更新日:2014年3月6日

「お墓とは」の関連記事

お墓の供花に造花はアリ?ナシ?

お墓にお供えされる菊の花
お墓参りに行ったり、霊園を見学すると気になることはありませんか。 私が気になるのは、お墓にお供えされたお花です。供花や仏花と呼ばれ[...]

寿陵墓でご先祖供養を

エンディングノートお墓について
終戦直後に生まれ、戦後復興で都会に生活の基盤を作ってきた、いわゆる団塊の世代の方々が終活の準備を進めています。 終活に注目が集まる[...]

現代のお墓に残る古来の風習

横穴古墳の内部 市ヶ尾横穴古墳群(横浜市青葉区)
お墓がどのような過程で今の形になったのか。お墓の疑問を解き明かすため、一気にタイムスリップして6世紀後半から7世紀後半の古墳時代の[...]

先祖代々の墓と両家墓

時代の流れを感じる墓石が並ぶ
霊園を拝見すると、しばしばお見かけするのが「両家墓」です。改めて両家墓が誕生した経緯と、従来の先祖代々の墓(一族墓)との違いを、時[...]

墓所のスタイルとお墓の様式

個人の墓碑が並ぶ永代供養墓
お墓の形は様々ありますが、そのお墓を建てる墓所にも様々な種類があります。 納得のいくお墓を建てるには、墓所それぞれの特長や雰囲気な[...]